航空機ファイナンス

国内の銀行が航空機の購入代金を融資したり、リースしたりする「航空機ファイナンス」を強化している。メガバンクだけでなく、地方銀行や信託銀行が相次ぎ参入。10月末にはスカイネットアジア航空(宮崎市)向けに地銀など8行が約30億円の協調融資を実施した。リースでは国内勢が海外企業を買収し、攻勢をかける。手元資金の乏しい格安航空会社(LCC)が増え、市場規模は一段と拡大しそうだ。  スカイネットへの協調融資に参加したのは、同社の地元の宮崎、宮崎太陽銀行のほか、大分や肥後(熊本県)、十八(長崎県)など各地の地銀と日本政策投資銀行だ。  地銀連合と政投銀がスカイネットに融資するのは7月に続き2回目で、地銀にとっては航空機ファイナンスへの本格参入となる。宮崎銀は「地元で集めた預金を地元企業に融資できる意義は大きい」としている。  政投銀は2011年に航空機ファイナンスに参入。融資残高は今期末に約2000億円になる見通しだ。協調融資にも積極的で、今月開催する説明会には地銀30行が参加する予定だ。  航空機ファイナンスはドイツやフランスなど欧州の金融機関がけん引してきたが、欧州危機以降は失速し、日本勢がシェアを伸ばしている。米ボーイングによると、同社機向け融資のシェアは13年に日本が21%に達し、独と並び世界トップになる見通しだ。りそな銀行や三井住友信託銀行も昨年から取り扱いを本格化している。  リース事業の買収で存在感を高めているのが三井住友フィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループだ。  三井住友は昨年、住友商事と共同で英大手銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)から航空機リース事業を買収。事業を統合したSMBCアビエーション・キャピタルは約340機を保有・管理する業界大手に躍り出た。  三菱UFJリースは今年1月、米航空機リース会社のジャクソン・スクエア・アビエーションを買収。110機以上を保有し、事業を拡張する。

新興国の経済成長や格安航空会社(LCC)の台頭で、世界の航空機需要は堅調に推移する。今後20年で新たに導入される航空機は3万機以上とされ、年間の資金需要は10兆円規模に達する見通しだ。だが航空旅客の需要は世界景気や国際紛争などに影響されやすく、最終的に資金を回収できるかどうかが航空機ファイナンスの成否を左右する。  航空機の製造は米ボーイングと欧州エアバスによる事実上の寡占市場。中国や韓国などのメーカーが乱立する造船業界のように供給過剰にはなりにくく、安値で買いたたいて投資額を抑えるのは容易ではない。  一方、世界の航空会社の業績をみると、2001年の米同時テロでその後5年間、全社合計の最終損益が赤字になった。リーマン・ショックのあった08年も巨額の赤字に沈んだ。現在の業績は好調で航空機ファイナンスも成長が期待できるが、大規模な国際テロやリーマン・ショックのような事態は今後も起こりうる。財務力の脆弱な航空会社もあり、破綻リスクは常にある。  オリックスは航空機ファイナンスを1990年代初頭から手掛けており、航空会社の破綻など「失敗から学んだ経験がある」(航空事業グループ)という。銀行と異なり、事業の急拡大には慎重姿勢を見せている。

日本経済新聞

 

 

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