有料老人ホームなどの高齢者向け施設に投資する国内最大のファンドが誕生した。シンガポールの企業が
組成した150億円規模のファンドが、北海道や奈良県で13施設を取得。ファンドには新生銀行が96億円
の非遡及型の融資を実行した。稼働率が高く賃料収入が安定しているため、高齢者向け不動産に国内外から
資金が流入している。
ファンドを組成したのはシンガポールの大手医療施設開発会社、ヘルスウエー・メディカル・デベロップメント。
同社はアジア全域で病院や介護施設の開発を進めている。
ファンドは有料老人ホームを運営する光ハイツ・ヴェラス(札幌市)とセフティライフ(奈良県)から施設
を買い取った。施設は今後も両社が運営し、賃料がファンドの収入になるしくみだ。
有料老人ホームなどは運営者が施設を建設するケースが多いが、高齢者の増加に供給ペースが追いついていない。
自前の資金による施設整備には限界があり、ファンドなどによる資金供給への期待が高まっている。
一方、投資家側から見れば、一般のマンションなどに比べて収入の安定した高齢者向けの不動産は有力な投資対象だ。
新生銀は将来、こうした不動産に投資する専門の不動産投資信託(REIT)をつくることを検討中だ。
こうしたファンドへの融資実行を通じ、運営事業者などとの関係を強化する狙いがある。
日本経済新聞