あおぞら銀行は29日、当初予定していた公的資金の一部返済について、6月下旬に開く株主総会への
提案を見送る方針を固めた。返済条件などを巡る主要株主や政府との調整が難航したためだ。
公的資金の返済が遅れれば政府は保有する優先株を10月に普通株に転換。政府の経営への
関与が強まる見通しだ。
政府はあおぞら銀の前身の旧日本債券信用銀行時代、2000年までに複数回にわたって
公的資金を注入し、現在も簿価で1794億円分の優先株を保有する。このうち1553億円分
は今年10月3日に普通株に転換される条件が付いている。政府の回収の目標額は1株当たりでみて
現在の市場価格の約2・5倍。普通株に転換すると市場価格で評価されるため、株価を大幅に
引き上げないと返済できなくなる。
あおぞら銀は今月14日の12年3月期決算の発表時に普通株への転換を避ける目的から、
公的資金の返済原資を確保するための減資や一部の返済を株主総会で提案する考えを示した。
ただ簿価を上回る額での回収を目指す金融庁や筆頭株主の米投資ファンド、サーベラスなどの
意見が一致せず、先送りすることにした。
あおぞら銀は普通株への転換期限である10月に向けてなお早期返済への道筋を探る考えだが
「調整は困難」との見方が強まっている。
日本経済新聞